記帳代行と自計化、どちらを選ぶべきか|ひとり社長・個人事業主の判断の目安
税理士に相談すると、ほぼ必ず聞かれるのが「記帳はご自身でされますか、お任せになりますか」という質問です。ここで迷う方は多く、「全部任せると高そう」「自分でやると間違えそう」のあいだで止まってしまいます。
この記事では、記帳代行と自計化(=ご自身で会計ソフトに入力すること)の違いと、どちらが向いているかの目安を整理します。結論を先にお伝えすると、支払いが銀行振込やカード中心で取引が少ない方は自計化が向いています。現金と紙の領収書が多く、入力の時間が本業を圧迫している方は記帳代行が向いています。
まず、言葉の整理
記帳代行
領収書や通帳のデータを税理士事務所に送り、帳簿への入力を任せる方法です。ご自身の作業は「資料を送ること」だけになります。当事務所では、freeeのファイルボックスやGoogle Driveに資料を入れていただく形で受け取ります。
自計化
ご自身でfreeeに取引を登録し、税理士は入力内容のチェックと税務の判断を担当する方法です(チェックの頻度はプランによります)。「自分で計算する」のではなく「自分で記録する」と考えると分かりやすいと思います。freeeでは銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるので、手で打ち込む作業はかなり減ります。
3つの違い
1. 費用
当事務所の料金で見ると、自計化を前提とした個人事業主向けのライトプランは月20,000円から、法人向けのスタータープランは月30,000円からです(いずれも決算料込・税抜)。記帳代行を頼む場合は、これに記帳代行オプション(50仕訳まで月5,000円から。50仕訳ごとに加算)を加えます。個人事業主の方には、記帳代行込みで一本化した本業集中プラン(月35,000円から。面談は半年ごと、LINE相談は月5回まで)もあります。つまり、記帳代行そのものの差額は月5,000円からが目安で、プランの中身が変わる分は別です。
| 自計化 | 記帳代行 | |
|---|---|---|
| 個人事業主の例 | ライトプラン 月20,000円〜 | ライト+記帳代行オプション 月20,000円〜+月5,000円〜(50仕訳まで)、または本業集中プラン 月35,000円〜(記帳代行込み・50仕訳が目安) |
| 法人の例 | スタータープラン 月30,000円〜 | スターター+記帳代行オプション 月30,000円〜+月5,000円〜(50仕訳まで) |
| ご自身の作業 | 取り込まれた明細を確認して登録 | 資料を期限までに送る |
| 数字が見えるタイミング | 登録した瞬間 | 資料を送ってから入力が終わったあと |
※いずれも年商・記帳スタイルによる加算前の基本料金(税抜)です。この記事では、取引1件を仕訳1件として書いています。詳しくは税務顧問サービスのページをご覧ください。
2. 手間
記帳代行は、資料を期限までに送る手間だけです。ただし、送り忘れや、レシートの山をまとめて送る状態が続くと、帳簿が遅れていきます。
自計化は、週に1回など決めたタイミングで、取り込まれた明細を確認して登録する手間がかかります。freeeの自動取込を使えば、作業は「確認して登録する」が中心になるため、当事務所の目安として、取引が月50件程度までなら大きな負担にはなりにくいです。
3. 数字が見えるタイミング
自計化は、登録した瞬間に今月の売上や経費が分かります。記帳代行は、資料を送ってから事務所が入力するまでの間が空くので、数字が見えるのは入力が終わったあとになります。「今いくら使えるか」を日々見たい方には、自計化のほうが合います。
自計化が向いている方
- 支払いの多くが銀行振込・クレジットカード・電子マネーで、現金払いが少ない
- 取引の数が月50件程度まで
- 数字を自分で見て、経営判断に使いたい
- スマホやパソコンでの作業に抵抗がない
当事務所は、この形の方を主な対象にしています。最初の設定(口座連携・自動登録ルール)さえ整えば、その後は「確認する」作業が中心になるからです。
記帳代行が向いている方
- 現金払いや紙の領収書が多い(飲食店・小売・建設の現場など)
- 取引が月100件を超える
- 入力の時間が本業を圧迫している
- 数字は月に1回、まとまった形で見られれば十分
この場合は、無理に自計化を目指すより、記帳代行で帳簿を遅れなく整えるほうが、結果として数字の質が保てます。なお、記帳代行の料金は仕訳の件数で変わります(本業集中プランは月50仕訳が目安で、超える分は追加料金です)。月50〜100件のあいだの方は、現金払いの割合と、入力に使える時間で決めるのがよいと思います。
よくある誤解
「自計化=全部自分でやる」ではありません
自計化でも、税理士は入力内容を確認し、誤りを直し、税務の判断をします(確認の頻度はプランによります)。「何に使った支払いか」はご本人にしか分からないので記録はお願いしますが、「それが経費になるか」「どの科目か」は税理士の仕事です。
最初は記帳代行、慣れたら自計化、という進め方もあります
当事務所では、記帳代行込みの本業集中プランで始めて、自計化したくなった時点でプランを切り替えることができます。逆に、自計化で始めて入力が追いつかなくなった場合は、記帳代行への切り替えをご相談ください。入力の誤りが多い状態で続けるより、形を変えたほうが数字が整います。
迷ったときの3つの質問
- 先月の支払いのうち、現金払いはどのくらいありますか。3割を超えるなら記帳代行寄りです
- 月の取引は何件ですか。50件までなら自計化寄りです
- 数字をどのくらいの頻度で見たいですか。毎週なら自計化、月1回なら記帳代行でも足ります
まとめ
- 自計化:費用を抑えられ、数字がすぐ見える。銀行・カード中心で取引が少ない方向き
- 記帳代行:資料を送るだけ。現金・紙が多く、入力が負担な方向き
- 途中でプランを切り替えることもできる
迷われたら、LINEで業種と月の取引の件数を一言お送りください。合うほうをお伝えします。
※料金は2026年10月15日時点の当事務所の料金表にもとづいています。
参考:freeeヘルプセンター 自動で経理から取引を登録する

