freeeを使うメリットは何か|税理士から見て「変わる」と感じる場面
「会計ソフトはどれを選んでも同じではないか」「Excelで足りているのに、変える必要はあるのか」。個人事業主やひとり社長の方から、よくいただく疑問です。
結論からお伝えすると、freee会計のメリットは「入力が速くなること」だけではありません。大きいのは、数字が早く、根拠つきでそろうことです。ただし、すべての方に向くわけではありません。この記事では、税理士の立場から見て何が変わるのかと、向いていない場合を整理します。
まず、freeeは何をしてくれるのか
操作の細かい手順はfreeeのヘルプに譲り、ここでは仕組みだけを押さえます。
- 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得する(公式サイトでは、対応する口座・サービスは1,000以上と案内されています)
- 取り込んだ明細から取引の内容を推測して表示する。内容を確認して登録する(「自動で経理」という機能です)
- 毎月の家賃や水道光熱費のような決まった明細は、ルールを作っておくと登録まで自動にできる(「自動登録ルール」)
- レシートや請求書を撮影・アップロードして保管し、見積書・請求書も作成できる
通帳を見ながら1行ずつ打ち込む作業が、「出てきた内容を確認する」作業に変わります。ただ、これはあくまで手段です。大事なのは、その結果として何が変わるかです。
税理士から見て「変わる」と感じる3つの場面
1. 数字が「年に1回」ではなく「毎月」そろう
手入力やExcelの場合、入力は申告の直前にまとめて、という形になりがちです。そうなると、1年が終わるまで利益も税金も分かりません。
明細が自動で入ってくると、ためずに処理しやすくなり、月ごとの売上・経費・残高が見えるようになります。税理士の側も、決算を待たずに「このペースなら税金はこのくらい」という話ができます。前回のコラムで書いた「1年の途中で手を打つ」ための土台が、ここでできます。
2. 領収書や請求書が、取引と一緒に残る
freeeでは、撮影したレシートや受け取った請求書のデータを、取引にひもづけて保存できます(保管場所は「ファイルボックス」と呼ばれます)。帳簿の1行から、その根拠となる書類をすぐに開けます。
「この支払いは何でしたか」という確認は、税理士とのやり取りで時間がかかる部分の一つです。書類が取引についていれば、この往復が大きく減ります。
また、メールやWebで受け取った請求書・領収書などのデータ(電子取引)については、保存の義務と方法が電子帳簿保存法で定められています。freee会計は、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応をうたっています。ソフトを入れれば自動的に要件を満たすわけではなく運用は必要ですが、自分で保存の仕組みを一から作るより負担は軽くなります。
3. 税理士と同じデータを見ながら話せる
freeeはクラウド(インターネット上)にデータがあり、税理士を招待して同じ帳簿を見ることができます。データを書き出して送る、紙を郵送する、といった受け渡しが要りません。
ご自身で入力していただいた内容を、税理士がそのまま確認して「ここは科目が違います」とお伝えできます。誤りを月ごとに直せるので、決算期に1年分の修正が積み上がりません。
freeeが向いていない場合
正直にお伝えすると、次のような場合は、無理にfreeeへ変える必要はありません。
- 取引が年に数十件ほどで、今の方法で無理なく申告できている
- 現金と紙でのやり取りが中心で、そのやり方を変える予定がない
- 経理担当の方がほかの会計ソフトに慣れていて、今の運用で困っていない
freeeの強みは、口座やカードの明細を取り込むところから始まります。現金払いが中心だと、その強みを使える場面が少なくなります。また、freeeは「取引」という独自の形式で記録するため、ほかのソフトで仕訳入力に慣れた方は、最初に戸惑うことがあります。会計ソフトにはそれぞれの良さがあり、今の方法で数字が毎月そろっているなら、それが合っているということです。
料金の目安
freee公式サイトに掲載されている料金は次のとおりです(2026年10月5日に確認。年払いの場合・税抜)。
- 個人事業主:スターター 年11,760円/スタンダード 年23,760円/プレミアム 年39,800円
- 法人:ひとり法人 年35,760円/スターター 年65,760円+従量課金(経費精算などを使った分。ひとり社長の場合、かからないことが多いです)
個人事業主向けでは、消費税申告の機能はスタンダード以上が対象で、スターターはレシートの撮影・アップロードが月5枚までとされています。消費税を納めている方や、レシートが多い方は、スタンダードから検討するのが目安です。料金や内容は変わることがあるため、申し込みの前に公式サイトをご確認ください。無料で試せる期間も用意されています。
導入したのに使いこなせていない方へ
「freeeを入れたが、結局ためてしまう」という場合、見直す点は操作よりも前にあることが多いです。
- 事業用の口座・カードと、生活用の口座・カードが分かれているか
- 事業で使う口座・カードが、すべてfreeeに登録されているか
- 毎月決まって出てくる明細に、自動登録ルールを作っているか
当事務所は、お客様ご自身にfreeeへ入力していただき、こちらで内容を確認する形を基本にしています。顧問料は個人の方で月2万円から、法人で月3万円からです(税抜・決算料込み。消費税申告は別途)。詳しくは税務顧問サービスのページをご覧ください。
まとめ
- freeeのメリットは、入力の速さよりも「数字が毎月、根拠つきでそろうこと」
- 税理士と同じデータを見られるので、確認と修正が月ごとに済む
- 取引が少ない方、現金と紙が中心の方、今の方法で困っていない方は、無理に変えなくてよい
「自分の場合はfreeeが合うのか」と迷われたら、LINEで今の経理のやり方を一言お送りください。合わない場合は、そのようにお伝えします。
※本記事は2026年10月5日時点の情報にもとづいています。freee会計の機能・料金は変更されることがあります。
参考:freee公式サイト 個人事業主向け料金プラン、新設法人向け料金プラン/freeeヘルプセンター 自動で経理から取引を登録する、明細の自動登録ルールを設定する、ファイルボックスで取り込んだ領収書を帳簿付けする/国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト


